2022.05.24
世界地図を見ながらビジネスを考えて、実行していく <インタビュー前編>
海外版「ACCESSTRADE」は、2013年に東南アジア(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール)各国で順次開始して以来、成長を続けています。
市場がないなかで、どのように成長させ、組織を強化してきたのか。
まもなく10周年を迎える海外版「ACCESSTRADE」のこれまでの軌跡と新たな挑戦、組織や人との関わり方など、海外全体を指揮する取締役海外事業管掌 藤田のロングインタビューを前編・後編でお届けします。
海外事業管掌
取締役
藤田 昭平
<前編>東南アジアで未開拓だったアフィリエイトマーケティング市場に確かな一歩を刻む
<後編>世界10ヵ国以上の組織が一つのチームとして、高いパフォーマンスを出すために
―9年前に東南アジアで海外版「ACCESSTRADE」をスタートしてから、これまでを振り返ってどんな思いを抱いているか教えてください
9年前に東南アジアで海外版アフィリエイトサービス「ACCESSTRADE」」をスタートしたときには各国でアフィリエイトのマーケットが何もない状態で、ほとんど知られていませんでした。マーケットも言葉も存在していない0のスタートから始まり、今では東南アジア全体で登録メディア数は約120万を記録し、登録数では日本を超えるまでに急成長しています。
実際に東南アジアでは国によって多少ばらつきがあるものの、アフィリエイトが日常的に利用されるマーケティング手法の一つになってきたなと感じます。特にEコマース領域では、どの企業もアフィリエイトを活用することは、ほぼ当たり前になってきました。たとえば、東南アジア2大ECプラットフォームのShopee(ショッピー)、Lazada(ラザダ)では、自社でもアフィリエイトを運用するという状況まできています。
今ではマーケティングの70%ほどのバジェットをアフィリエイトに特化する企業も出てきていて、マーケット全体に大きなインパクトを与えたと考えています。
実際に我々のクライアントの中で、インドネシアECサイト最大手のTokopedia(トコペディア)など、時価総額一千億円を超える東南アジアでユニコーンといわれる企業もかなり増えてきました。また、ACCESSTRADEと長年提携しているSHOPBACKなどは、アフィリエイトを始めた当初は小さなスタートアップでしたが、今では非常に大きな媒体にまで成長しています。
当時は、東南アジアでは何か商品を買うときに、国民のほとんどはEコマースを利用していませんでした。その背景の一つは、ネットでクレジットカード決済することをまだ当時は誰もが信用していなかったため、ネットで商品を購入することが大きな障壁になっていたことにあります。今ではスマホのアプリ、たとえばShopee(ショッピー)、Lazada(ラザダ)などの最大手ECサイトで購入することが当たり前になり、購入する前には必ずクーポンやポイントを確認するようになったりと、当初と比べると消費者行動まで大きく変化しています。
このように市場が拡大する過程の基礎の段階から、「ACCESSTRADE」を通じて企業や媒体のサポートをしてきたことで、現状ではEコマース取扱高は70億円ほどの金額になっています。年間でいうと1,000億円に近い金額が我々のプラットフォームを通して流通するまでに成長しています。
―これまで各国でサービス展開してきたなかで、一番苦しかった時期や印象深いエピソードを教えてください
最初の数年ですかね。2013―2016年にかけては試行錯誤が続いていました。
大きく分けて3つあるんですが、一つは「ACCESSTRADE」のプロダクト自体の開発もあまりうまくいっておらず、不安定だったことです。それにより、各所でクレームも多くありました。そのような苦しい状況下で、もちろんビジネスとしては投資しながら成長させていかないといけないというジレンマですよね。
当初はインドネシアとタイだけ事業をしていたのですが、なかなか成果が出ないなかで、ベトナムでも新たに事業を開始する意思決定をしました。2013~2016年はチームの皆と何がだめなのか、どうすればうまくいくのかずっと試行錯誤していた時期です。
二つ目は、アフィリエイトがほとんど知られていなく認知度が低かったことです。
日本では20年以上アフィリエイトサービスを運営していますが、東南アジアでは多くの広告主はCPM/CPCモデルのビジネスで収益化をしていたため、はじめは、CPAモデルであるアフィリエイトマーケティングがどれだけ効果的なものかを理解いただくことに苦戦し、大きな課題でもありました。
三つ目は媒体です。今もそうですが、いわゆるアクティブなアフィリエイターを生み出すのは相当苦労します。日本でも簡単ではないと思いますが、サイトを立ち上げて売上を拡大していくためには、媒体自体も学んで継続して改善していく必要があるため、当初は媒体を成長させていくことが非常に厳しかったです。今ではアフィリエイトマーケティングに対する理解促進のため、ATA「アクセストレードアカデミー」 などの教育プログラムを定期的に開催しています。
―2016年まで苦しい時期だったとのことですが、2017年から転換点となった一番の出来事について教えてください
一番大きかったのは、ベトナムでの成功事例をつくれたことです。
ベトナムにおいてもアフィリエイト市場がないなかで事業をスタートしましたが、当初はトップの媒体を開拓し、ネットワーク構築に注力をしてきました。急速に拡大したネットワークに対して、提供価値を高めるためにさまざまなイベントの開催やATA(アクセストレードアカデミー)などの教育プログラムにも力をいれ、とにかくアクションを続けてきました。その結果、媒体と広告主から多大なご支援と信頼をいただき、今も成長を続けています。
―「ACCESSTRADE」の成長や変化を実感した印象深いできごとはありますか
2017年頃から「繋がる」「学ぶ」「ビジネスチャンス」を目的として、市場の健全な成長を促進するためのグローバルカンファレンス「ACCESSTRADE SUMMIT」を開催しています。 「ACCESSTRADE SUMMIT」では、日本および、東南アジア各国(インドネシア・タイ・ベトナム・マレーシア・シンガポール)のTOP広告主、媒体、デジタルマーケティングエージェンシー、ソリューションプロバイダーなど総勢300名以上が集まりますが、実際に各国で「ACCESSTRADE」の評判を耳にすることも増えました。その場にいる全員が、何かしらの形でアフィリエイトに関わっているわけですが、日ごろの課題やチャレンジをシェアし、どうすればもっと良くなるのか?をWIN-WINの姿勢で共有できていること、そして、アフィリエイターの方々の生活が毎年、豊かになっていく過程を見ることはとてもうれしかったですね。
また、ACCESSTRADEの成長とともに、メンバーも成長していて、入社した当初は一人のスタッフとして加入したメンバーが、日々、業務で鍛えられながら、学び、リーダーとして成長していく姿を見るのはとても気持ちよかったです。彼らとその成果を一緒にお酒でも飲んだりしながら分かち合うときは至福の時間ですね。
―ベトナムでの成功事例をもとに強化している取り組みはありますか
ベトナムでの成功事例をもとに各国で媒体への提供価値向上のプログラムを展開しています。たとえば、ATA(アクセストレードアカデミー)などの教育プログラムやACCESSTRADE独自の媒体向けのロイヤリティプログラムであるATSP「ACCESSTRADE SUPER POINT(アクセストレードスーパーポイント) 」などがあります。
また、2019年頃から横軸でのコミュニケーションをかなり重要視し強化しています。
ベトナムだけでなく各国に成功事例はあるので、トップレイヤーだけでなくメンバー間でも新規営業チーム、コンサルティングチーム、媒体チームと細分化して横の連携を強め、各国が協力することでベトナムと同様に他の国の成長にもつながっていると感じます。
―実際に、海外全体の登録メディア数は日本を上回る120万を超えましたね。
はい、すごい勢いで成長しています。ゼロからスタートし、ほとんど知られていなかったアフィリエイトマーケティング市場に確かな一歩を刻んだ成功事例の1つになったと実感しています。ですが、まだまだ道半ば。各国でロングテールの中小規模の媒体やSNSで活躍する新しいインフルエンサーに対してはアプローチしきれていないので、まだまだ成長の余力はありますし、今後何倍にも成長させることができると考えています。
昨年10月にはナノ・マイクロインフルエンサーに特化した東南アジアで初めての成果報酬型インフルエンサープラットフォーム「ACCESSTRADE Influencers」 https://influencer.accesstrade.global/ をタイからローンチしたので、順次各国で展開を広げてインフルエンサー獲得にもさらに力をいれていきます。
<後編>世界10ヵ国以上の組織が一つのチームとして、高いパフォーマンスを出すために