2024.07.25
ベトナムNo.1コーヒーチェーン「ハイランズコーヒー」のO2O戦略で新規顧客20%増加!成功の秘訣とは?
2013年から東南アジア各国で展開する「ACCESSTRADE」は、ベトナム最大のコーヒーチェーン「ハイランズコーヒー」とのO2Oプロジェクトで高く評価され、「Global Performance Marketing Awards 2023」で「Best affiliate and partnership strategy APAC部門」を受賞しました。本記事では、プロジェクト担当のMai Hoang Phuong Thao氏にインタビューを行い、ベトナム市場でのマーケティング戦略やインフルエンサー活用の秘訣を伺いました。
インタースペースベトナム
ECチーム マネージャー
Mai Hoang Phuong Thao
成功の鍵は「ACCESSTRADE」独自のCPPモデル
―ハイランズコーヒーのO2Oプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?プロジェクト以前に課題はありましたか?
ハイランドコーヒーは、COVID-19の影響で運営コストが上昇し、価格引き上げによる消費者の反発や来客減少という課題に直面していました。この課題を解決し、顧客利用を再活性化するために、新しいO2Oカスタマージャーニーのトラッキングと分析が必要でした。
顧客の接点を追跡し、行動を分析するためには、トラッキングプラットフォームの利用やデジタル変革の最適化、KOC(Key Opinion Leader)/KOL(Key Opinion Consumer)インフルエンサーの活用が必要であり、これには高度な技術ソリューションが求められました。そのため、ベトナム最大のアフィリエイトプラットフォーム「ACCESSTRADE」はハイランズコーヒーと協力し、このプロジェクトを始動しました。
―ベトナム市場でのO2O戦略の特徴について教えてください。
ベトナム市場は、SNSとコミュニティチャンネルの急速な発展により、O2O戦略が非常に重要です。特に、COVID-19で大きな打撃を受けたF&B(食品・飲料)業界では、成長とROIを確保するために強固な回復戦略が求められています。O2O戦略はオンラインでのエンゲージメントをオフラインの売上に繋げる重要な役割を果たし、F&B業界において特に重要です。
―今回のO2Oプロジェクトの具体的な内容について教えてください。
新規顧客の獲得と店舗へのトラフィック増加を目標として、「ACCESSTRADE」独自の「CPP(Cost per Purchase)」モデルを導入しました。このモデルでは、コードを使用してオンラインからオフラインへの顧客導線をトラッキングし、「ACCESSTRADE」ネットワークのパブリッシャーやKOCインフルエンサーがハイランズコーヒーの電子バウチャーを紹介し、実際に顧客がハイランドコーヒーの店舗でバウチャーを使用して購買や飲食を行った場合に広告費が発生します。この仕組みにより、企業は低リスクで実店舗への集客を促進することができます。
ハイランズコーヒーのターゲット層を考慮して、「ACCESSTRADE」ネットワークのフード系ブロガーやKOCインフルエンサー、ライフスタイル系WEBサイトを慎重に選定し、200万もの広範なネットワークを活用したCPPモデルでのキャンペーンを実施しました。
急成長するベトナムのライブコマース市場でのインフルエンサー活用法
―ベトナムでのインフルエンサーマーケティングのトレンドについて教えてください。
ベトナム市場は若くてテクノロジーに精通した人口が多く、SNSの利用者が多いです。特にTikTokが急速に普及しており、インフルエンサーを通じてターゲットにアプローチすることが増えています。ライブストリーミングを通じた販売もトレンドであり、2026年までにライブコマース市場はEC市場の20%を占めると予想され、その重要性は今後ますます高まると考えられます。また、WeChatやAlipayのようなSuperAppも普及しており、多機能を提供するアプリが注目されています。
―インフルエンサーとの連携強化のためにどのような施策を行っているのでしょうか?
「ACCESSTRADE」では多くのKOCインフルエンサーが活躍しており、ブランドリーチとエンゲージメントを高めるためにはインフルエンサーの活用が不可欠です。そのため、以下の取り組みを行い、インフルエンサーとの連携を強化し、効果的なキャンペーンを実施しています。
・対面セッション :KOCインフルエンサーとのフェイスツーフェイスの会議を行い、直接的な交流とアイデアを共有。
・ライブストリーミング :毎日ライブストリーミングを実施し、キャンペーンの成功に向けたノウハウを提供。
・知識共有 : ACCESSTRADEのソーシャルメディアグループでインフルエンサーが経験や洞察を共有できる場を提供し、コミュニティを形成。
・認知度コンテスト: インフルエンサーのキャンペーン体験を評価し、優秀な活動を表彰するコンテストを開催。
また、インフルエンサーの参加を促進する新しい取り組みとして、「ラッキードローミニゲーム」を導入しました。このゲームでは、インフルエンサーがハイランズコーヒーのキャンペーンをSNSやブログ、動画プラットフォームで紹介をし、その活動に応じて様々な賞品が当たるチャンスがあります。このインセンティブによって、キャンペーン参加のKOCインフルエンサー数が大幅に増加しました。
―今回のプロジェクトで特に効果的だった取り組みは何ですか?成果についても教えてください。
最も効果的だったのは、「ACCESSTRADE」独自のCPPモデルの導入です。これにより、多くの消費者にリーチでき、バウチャーコードのトラッキングでオンラインからオフラインへのデータや顧客行動を収集・分析することで、コストの最適化を実現しました。また、ネットワークの成果実績やサイト利用ユーザーの質に応じて異なるコミッション率を設定することで、ROIも最大化しました。
ハイランドコーヒーのO2Oプロジェクトの成果
・注文数の増加:ソーシャルメディアでの注文が26%増加。
・ブランド認知度の向上 :フード&ビバレッジブランドランキングで10位から5位に上昇。
・新規顧客の獲得:新規顧客の割合が20%増加、リピーター率が15%向上。
・売上向上:バウチャーコードのトラッキングにより、店舗売上が10%向上。
―最後に、将来的にベトナム市場のマーケティング戦略において重要なポイントは何ですか?
変化の激しいベトナム市場での成功には、複合的なアプローチが必要になってきています。主に3つの柱があります。
1、 デジタル化の推進
高度なツールに基づいて顧客理解を深め、SNSやインフルエンサーによるマーケティングを効果的に展開することです。
2、 効率的なマーケティングモデルの採用
CPPモデルや独自のマーケティング、オムニチャネル戦略を使用することで、ROIを最大化し、顧客満足度を向上させることができます。
3、 若年層へのアプローチとデータ活用
UGCや動画マーケティングを活用し、データドリブンな意思決定を行うことで、急速に変化する市場に柔軟に対応できます。
これらの要素をバランスよく組み合わせることが、ベトナム市場での競争力強化と持続可能な成長につながると考えます。
今後も経済成長とトレンドに伴い変化するベトナム市場に対応し、常に新しいテクノロジーやトレンドを取り入れながら、広告主がより強固な顧客関係を築き、持続可能な成長を実現できるよう支援していきたいです。