「it」と「that」の意味はどちらも「それ」？英会話での使い方の違いを知っておこう！

シュン_2023 Webライター / 英語学専攻 / 英語教員

英語学専攻 / 英語教員歴9年

私立中学・高等学校に勤務し、普段は生徒に英語を指導。文法の基礎だけでなく、シャドーイングやアウトプット活動を重視した授業を展開。
特に英検２級と準１級の指導が多く、校内では外部英語検定チームの一員として英検研究に励んでいます。2次面接対策も生徒に行うことが多く、ほとんどの生徒は１発で2次試験に合格しました！

オンライン英会話を活用し、英検1級・TOEIC975点を取得。現在は、アプリを活用した英語学習を模索中。

WEBライターとして、英検対策や英語学習について発信するだけでなく、オンライン英会話のライティング添削なども行う。

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英会話では、それまでに話題に出ている単語や内容を「それ」「あれ」と言い換えたい場面は多いです。
しかし、その際に「it」と「that」どちらを使ったらいいのだろうかと迷ったことはないでしょうか？

この記事では、「それ」「あれ」と訳されることが多い「it」と「that」の使い方の違いを解説します。
それぞれどんな特徴を持つ事柄を言い換えるために使われる単語なのかを把握して、しっかりと使い分けられるようになっておきましょう。

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英語で「それ」「あれ」を意味する単語は？

英語で「それ」「あれ」と訳されることが多い単語は、「it」と「that」です。
これらの単語は、どちらも「代名詞」として使う場合に「それ」や「あれ」という意味を持ちます。
会話の中で前述されたある単語やある文をもう一度繰り返したい時に、重複を避けるための言い換え表現として使う語です。

「it」と「that」はどちらも単数形で、複数形はそれぞれ「they」「those」となります。

代名詞の「it」と「that」は、会話の中で一度話題に上った単語や内容を言い換える場合に使います。
一方、会話の中に初めて登場する「それ」「あれ」「その～」「あの～」などの場合は「that」を使うのが一般的です。
この場合の「that」は、代名詞ではなく形容詞に当たります。

「it」の使い方

まずは、代名詞としての「it」の使い方から詳しく見ていきましょう。

一つの名詞 / 名詞句の代わりに使う

代名詞の「it」は、ひとつ前の発言の中やこれまでの会話の中で話題に出てきたある特定の人や物を言い換える語として使われることが多いです。
文の構成によっては、発言者があとから述べようとしている特定の人や物を指す場合もあります。

この場合の「it」は、必ずある一つの単語の代わりとして使われるのが特徴です。
例えば何かの名詞や名詞句など、実際に現実に存在している名詞を言い換えます。

一般的な物事を述べる時に使う

「it」は、一つの名詞や名詞句で表される物事・習慣・行動などに対して一般的・常識的な意見を言う時にも使われやすい代名詞です。
何かの物事を話題として出した後に、それに対する一般的な意見を「It is～ / It’s～（それは～だ）」と述べるフレーズはよく耳にするでしょう。

漠然とした抽象的なものを指す時に使う

「it」は、主語に置くものが特にない場合に主語の代わりとして使われることもあります。
これは、英語の文章では必ず主語の役割をするものを置く必要があるためです。

「it」が主語として最も使われやすいのは、天気や天候、寒暖、距離、気温、時間、日時、曜日、明暗など抽象的なものを話題にする場合です。
また、漠然とした状況や状態、何かの事情を話す時にも主語には「it」が使われます。

この場合の「it」は特に何か特定のものを指す意味はないので、「文の形式的主語」と呼ばれています。
同じ理由で、日本語に訳す場合にこの「it」が訳文に反映されることもほとんどありません。

「that」の使い方

続いて、「it」と比較しながら「that」の使い方も確認しておきましょう。

文 / 内容全体の代わりに使う

「it」はそれまでの会話に出てきた特定の単語を言い換えますが、代名詞「that」はひとつ前の発言全体やそれまでの文脈全体を言い換えます。
例えば、前述されたアイデアや意見、提案、勧誘、依頼などの発言内容をもう一度繰り返したい場合に、その内容全体を「that」の一語で指すことができます。

具体的な物事を述べる時に使う

「it」は一般的・常識的な物事を述べる時に使いますが、「that」は具体的な物事を述べる時に使われます。
「it」よりも、よりはっきりと何かを指し示すイメージを持つ代名詞です。

例えば、話題に出た事柄に対して個人的な意見を言う時や自分の周囲という限定的な範囲を取り巻く状況を伝える際には「that」を使います。
「That is～ / That’s～（それは～だ）」という定番フレーズで述べることが多いです。

会話の中で「it」と「that」を使い分けよう

ここまでで紹介した「it」と「that」それぞれの使い方を踏まえて、英会話の中での2つの単語の使い分け方を考えてみましょう。

言い換えたいのは名詞か内容全体か

「it」と「that」どちらを使う場面なのかで迷ったら、まずはこれまでの会話に出てきたどんなものを言い換えたいのかを考えます。
人や物を指す名詞や名詞句一つなのか、自分や相手が発言したその内容全体のことを言い換えたいのかということです。
言い換えたいのがどちらなのか分かったら、一つの名詞や名詞句の代わりには「it」、発言内容全体の代わりには「that」を使って言い換えます。

では以下の2つの例文で、「it」と「that」それぞれで言い換えた場合、意味がどのように異なってくるのか確認しましょう。
Aさんは同じセリフを言っていますが、それに対してBさんが「it」と「that」どちらを使うかで会話の流れが変わることに注目してください。

この場合、Bさんのセリフの中の「それ」は直前にAさんが話題にした「ring」を指しています。
「ring」は実態のある一つの名詞なのでBさんは「it」で言い換えて、「ring」そのものが「素敵だ」と言っているのです。

では、同じ話題でBさんが「it」ではなく「that」で言い換えると、会話の流れはどう変わるでしょうか？

この場合、Bさんのセリフの「それ」は直前のAさんの発言「My boyfriend bought me this ring yesterday」を指しています。
Aさんのこの発言全体を繰り返したいので、Bさんは「that」で言い換えているのです。
つまり、「My boyfriend bought me this ring yesterday」という話自体が「素敵だ」というニュアンスになります。

このように、「it」と「that」どちらで言い換えるかは会話の流れも左右します。
話題になっているどんなものを言い換えたいのかしっかり把握して「it」と「that」を使い分けることは、非常に重要なことと言えます。

一般的な物事か個人的な物事か

「it」と「that」どちらで言い換えるかで迷ったら、言い換えたい事柄は一般的か個人的かという点も考えましょう。
一般的な物事や常識的な意見を指すのか、それともより具体的な物事や個人的な意見を指すのかということです。
一般的な物事の代わりには「it」、個人的な物事の代わりには「that」を使います。

言い換えたい物事の種類によって「it」と「that」をどのように使い分けるのか、以下の例文で確認しましょう。

この場合、Bさんのセリフの中の「それ」は直前にAさんが話題に出した「walking」を指しています。
「walking」が「良い習慣」であることは世間に広まっている意見なので、Bさんは「it」で言い換えているのです。

では、同じ話題でBさんが「it」ではなく「that」で言い換える場面も見てみましょう。

この場合、Bさんのセリフの「それ」は直前のAさんの提案全体を指しています。
それは自分にとって難しい提案だという個人的意見を伝えたいので、Bさんは「that」で言い換えているのです。

「it」は天気、距離、時間、日時、状況、事情などの漠然としたものの代わりとして主語の位置に置かれることもあるという点を覚えておきましょう。
これは「it」のみ使える用法で、「that」は代わりとして使うことはできません。

まとめ

この記事では、「それ」「あれ」と訳されることが多い「it」と「that」の違いと使い分け方を解説しました。
会話の中でそれぞれどんなものを言い換える時に使われるのか覚えて、迷わず口から出せるように練習しておきましょう。